こちらから是非ご覧ください。
花粉症について
(1)花粉症とは

花粉症とは植物の花粉が、鼻や目などの粘膜に接触することによって引き起こされるI型アレルギーに分類される疾患の一つです。
くしゃみ・鼻水・鼻づまりは風邪の特徴的な症状ですが、風邪以外でこの症状を示すのがアレルギー性鼻炎であり、花粉の飛散期に発症する季節性アレルギー性鼻炎の代表が花粉症です。また花粉症では目のかゆみ、結膜の充血などのアレルギー性結膜炎の症状もみられ、それ以外にも目の周りや顔面・襟足の発赤、かゆみ、腫れなどの皮膚症状、のどの不快感、頭痛・微熱・倦怠感などの全身症状も生じます。

(2)花粉症の症状

花粉症の症状は主に鼻と眼に現れます。花粉飛散開始とともに症状がみられる人もいれば、花粉が大量に飛散するまで無症状の人もいます。またその年の花粉の飛散数によっても症状の程度が変わり、飛散数の少ない年には全く無症状のまま過ごす人もいます。

1.くしゃみ
くしゃみは外から侵入した異物を外に出そうとする防御反応です。花粉症では連続して何回も起こります。1日中止まらないこともあります。風邪ではそこまで続いて起こることはあまりありません。

2.鼻水(水様性鼻汁・水性鼻漏)
鼻水は吸気をろ過、加湿する上で重要な役割を果たしていますが、花粉症ではその分泌が亢進し、鼻からたれたり、のどに流れたりします(後鼻漏)。水のように透明でサラサラした鼻水がとめどなく流れ出て、いくら鼻をかんでも出てきます。花粉シーズンが終わるまで続きます。風邪でも初期は透明な鼻水が出ることがありますが、数日で粘っこい鼻汁に変わり、1〜2週間で軽快します。

3.鼻づまり(鼻閉)
鼻づまりは肥満細胞から放出されたヒスタミンやロイコトリエンなどの化学伝達物質により、鼻粘膜血管が刺激され、血管が拡張しうっ血状態になり、鼻粘膜が浮腫を起こすことにより生じます。症状が進むと両方の鼻がつまり口呼吸になります。花粉症による鼻づまりは頑固で症状がひどく、長期間持続します。鼻がつまって夜も眠れないほどになります。風邪のときの鼻づまりは数日間で治ります。

4.眼の症状
花粉が眼に入るとかゆみを感じて涙がでます。激しいかゆみで眼をゴシゴシこすりたくなるほどで、両方の眼に均等に起こります。白目の部分(眼球結膜)が充血したり、まぶたが腫れたりします。風邪で眼に症状が出ることはあまりありません。

5.鼻・眼以外の症状
花粉症の症状は様々あり、典型的な鼻・眼症状以外にもQuality of Life(QOL)を損なう多様な症状が存在します。花粉症患者のQOL調査の結果では、最も困る鼻・眼以外の症状は『口が渇く』であり、それ以外では『のどがかゆい』・『のどが痛い』などのアレルギー性咽頭炎症状、『皮膚がかゆい』などの花粉皮膚炎症状がみられます。
日常生活で起きる支障として、『集中力が落ちる』・『息苦しさを感じる』・『イライラする』・『頭痛がする』・『熟睡ができない』などが挙げられます。
また、花粉症は1日のうちで症状の変化があり、朝目覚めたときから活動開始までが一番症状が重いモーニングアタックと呼ばれる症状があります。

6.花粉症の重症度分類(鼻症状の程度)

拡大図はこちらをご覧ください。
鼻アレルギー診療ガイドライン2009年版(改定第6版)を改変


(3)花粉症の歴史

1565年: イタリアで報告されたものが、現在の花粉症と呼ばれる症状の世界初の報告だと伝えられている(一説には1533年)。
1819年: 英国で最初の花粉症として名高い枯草熱がBostockらによって発見。
1872年: ブタクサが花粉症の原因ではないかとWymanが発表。
1873年: 枯草熱の原因が、農夫が牧草として栽培しようとしていたイネ科の花粉(カモガヤ)であることをBlackleyが発見。
1961年: 日本で最初に確認された花粉症は、戦後にアメリカ進駐軍が持ち込んだと言われているブタクサによるものであった。(横浜のメリケン波止場に到着した荷物のクッションにするために入れられてきたのが、実はブタクサであった。→マッカーサーの置き土産
1963年: 日本のスギ花粉症の第1号を斎藤洋三が報告。戦争で焼け落ちた山々に植えられた大量の杉(人工林)が大量の花粉を飛散するようになった。

(4)花粉症の種類

花粉症を引き起こす植物は多岐に渡り、日本では約50種類が報告されています。代表的なものはやはりスギで、花粉症全体の約70%を占めると推察されています。これは日本の国土に占めるスギ林の面積(国土の12%)が大きいためでもあります。
一方、北海道ではスギ花粉の飛散がきわめて少なく、沖縄にはスギが全く生息しません。関東・東海地方では、ヒノキ科花粉による花粉症もみられますが、スギ花粉症が多く認められます。
スギ花粉が飛ぶ2〜4月を花粉症のシーズンと考えがちですが、スギ花粉の飛散のピークを過ぎた頃から、ヒノキの花粉が飛び始め、さらに1カ月。マツなら4〜6月、ブタクサヨモギの花粉に反応する人なら8〜10月と、症状が現れる時期は変わってきます。
「夏なのに、鼻や目がかゆいのはなぜ?」と思っている人は、カモガヤハルガヤ(5〜7月)の花粉に反応していることも考えられます。

(5)気象との関連

スギの花粉は毎年7月の初め頃から作られますが、この頃に日照りが続き雨が少ないと、花芽がたくさんできて、翌年の花粉飛散数が増加します。花芽は夏から初秋にかけて発育を続け、やがて雄花が完成し、雄花の中に花粉が作られます。花粉が完成するのは10月中旬です。スギの成長の度合い、雄花の量から翌年のスギ花粉飛散予報がおおよそ決まります。今年は残念なことに飛散量が驚くほど増えると予想されています。なんと昨年の約5倍にものぼり、過去に目立って大量だった2005年と同等か、それ以上と予想されているのです。
理由の一つは昨年の天候です。記録的な猛暑が続き、日照時間も長く、スギの雄花がよく育ちたくさんの花粉をつける条件がそろってしまいました。昨年は全国的に花粉が少なめでしたが、今年はとても多くなると推測されています。
また気象条件として、花粉飛散初期の2月の平均湿度がスギ花粉症の有病率に影響を及ぼし、湿度が低い地域ほどスギ花粉症の有病率が高いことが知られています。
そして世界的な温暖化の影響で、今後はさらなる花粉飛散数の増加が予想されます。

(6)花粉症は一生の病気?

花粉症の完全治癒は難しく、残念ながら、ほぼ一生の病気と考えられています。小児のアレルギー性鼻炎に限っては全体の約3分の1が成長とともに軽症化し、約3分の1は自然治癒するという報告もありますが、スギ花粉症だけは例外で、自然に軽症化するのはごく稀です。
しかし、花粉症は完治することは難しくても、治療を続け日常生活上の注意をすれば、症状を軽減したりコントロールすることはできるのです。花粉症の治療は長期にわたることが多く、強い意思と根気が必要です。

(7)花粉症のメカニズム

花粉症は、花粉による「季節性アレルギー性鼻炎」であり、アレルギ―性疾患の一つです。 アレルギーとは、「自分に体の成分とは異なる物質が体内に侵入したときに、その異物を排除しようと抵抗する反応が過敏な状態」のことです。花粉症でいえば、体内に入ってきた「花粉」という異物に対し、鼻水や涙、あるいはくしゃみによって排除しようとするのが、アレルギー反応というわけです。
こうした抵抗する反応のしくみを免疫といいます。
本来、免疫は体にとってプラスの働きをするものですが、その働きが過剰すぎるとマイナスの働きになってしまい、それがアレルギー反応となるわけです。
アレルギーでは、アレルギーを引き起こす異物を抗原アレルゲン)と呼びます。花粉症の場合、アレルゲンは「花粉」です。
花粉症が起こるメカニズムについてまとめます。

1.花粉(アレルゲン抗原)を吸い込む
2.アレルゲンに抵抗する「抗体」が体内に産生される


アレルゲンが体内に侵入すると、抗体と呼ばれるアレルゲンを排除しようとする働きのある物質が産生され、再びアレルゲンが侵入してくるときに備えます。
鼻粘膜内に浸透したスギ花粉抗原は、異物を認識するマクロファージと会合し、マクロファージはスギ花粉抗原の情報をT細胞へと送ります。さらにT細胞はB細胞へと情報を送り、ここで花粉に合致する抗体(スギ特異的IgE抗体)が産生されます。
これがアレルギー反応の最初の段階である「感作」です。

拡大図はこちらをご覧ください。
1.〜2.→(図1:スギ花粉症のアレルギー反応=感作を中心に)

3.肥満細胞と結合した抗体抗原(花粉)とくっつき、抗原抗体反応を起こす
IgE抗体(免疫グロブリン)はアレルギー発症に関与する肥満細胞の周囲にすでに結合しています。このIgE抗体が花粉の抗原成分をとらえて結合すると、抗原抗体反応が起こります。

4.抗原抗体反応が起こり、肥満細胞から化学伝達物質が放出
肥満細胞が活性化され、ヒスタミン(Hi)やロイコトリエン(LTs)などの化学伝達物質が放出されます。

5.放出された化学伝達物質が知覚神経や血管を刺激(即時相反応
放出された化学伝達物質(ケミカルメディエーター)が

→鼻粘膜の知覚神経を刺激→くしゃみ
→鼻粘膜の分泌腺を刺激→鼻水(鼻漏)
→鼻粘膜の血管を刺激→鼻づまり(鼻閉)
→眼の結膜表面で神経を刺激→眼のかゆみ・涙

抗原(アレルゲン)を体外へ排除しようとする働きが起きます。

6.鼻粘膜内でアレルギー性炎症反応が進行し遅発相反応が起こる
花粉抗原との反応が繰り返されると、鼻粘膜内では好酸球の増加と上皮細胞の障害が生じ、粘膜の過敏性が亢進し、症状が遷延 します(遅発相反応)。   

拡大図はこちらをご覧ください。
3.〜6.→(図2:スギ花粉症のメカニズム=発症を中心に)

(8)症状の個人差

花粉症になる人とならない人がいます。
また、症状の程度も軽症から重症・最重症まで様々です。
この違いはなぜなのでしょう。
原因となる花粉との接触を繰り返しているうちに、IgE抗体は、少しずつ体内に蓄積されてきます。この過程を「感作」といい、抗原に敏感になる状態が作られたということを意味します。
IgE抗体がある量まで蓄積されると、「感作が成立した」といわれ、発症の準備段階が整った状態になります。
この状態の時に、再び花粉と接触すると、抗原と抗体が結びついて、花粉症の症状が現れます。この感作が成立する発症水準が人によって異なるのです。IgE抗体に対する許容量が人によって異なるため、発症の早い人となかなか花粉症にならない人がいるのです。そのため現時点で花粉症でない人でも、花粉症予備軍として発症を待っている段階である可能性があり、ある日突然発症するかもしれません。
またIgE抗体の量と症状の強さは相関せず、必ずしもIgE抗体の量が高ければ重症になるというわけではありません。
アレルギー反応の程度は、反応性過敏性に関わります。
【反応性】は同じ抗原量によってどのくらい症状が誘発されるかであり、【過敏性】は反応を起こす最少の抗原量をあらわします。反応性も過敏性も人によって異なります。ごくわずかな抗原の量で症状が発現するならば過敏性が亢進した状態であり、同じ抗原量のときにくしゃみや鼻水がたくさんでるのは反応性が亢進した状態です。
重症になればなるほど、過敏性だけでなく反応性も同様に亢進しています。

(9)花粉症の診断と検査

花粉症を含むアレルギー性鼻炎の診断は、まず風邪による急性鼻炎急性慢性副鼻腔炎と鑑別診断をする必要があります。最終的には問診を基本とし、総合的に診断を下すことが大切です。問診によって症状を起こしているアレルゲンが何かを予想しながら検査を進めます。

1.問診のポイントは主に次のような内容です。
1)時間・場所・季節性・期間
いつ(時間)、どこ(場所)で症状がでるのか、一年のうち何月に症状があり(季節性)、いつまで続くのか(期間)。
2)具体的な症状
鼻の3症候(鼻のかゆみ・くしゃみ、鼻水、鼻づまり)、目のかゆみなど典型的な症状の有無と程度、何年前から症状があるか。
3)家族歴
家族に花粉症やアレルギーの病気の人がいるか。
4)既往歴
他のアレルギー疾患を患ったことがあるか、別の疾患があるか、すでに治療を受けている場合は処方されている薬などについて。
5)仕事や食生活、住環境
ペットを飼っているか。

2.鼻粘膜検査
耳鼻科では鼻鏡という鼻の中を観察する器具を用いて、鼻水の状態や分泌量、鼻の粘膜の状態を調べます。正常なら薄いピンク色をしている粘膜が、花粉症を含めたアレルギー性鼻炎の場合は、むくんで白っぽくなっています。
また、また同時に鼻の病気(副鼻腔炎鼻ポリープ鼻中隔彎曲症など)があるかないか確認します。これらの病気でも鼻水や鼻づまりが生じます。またこれらの病気があると花粉症の症状が重くなり、治りにくくなります。

3.鼻汁好酸球検査
鼻汁を採取して、その中の細胞を調べます。白血球の1種である好酸球が増加しているかどうかで、アレルギー性かどうか分かります。

4.鼻誘発テスト
花粉症の原因となる花粉エキスを鼻の粘膜に付着させ、花粉を吸い込んだ時と同じ状態を作り、くしゃみなどの症状発現の有無を観察します。

5.血液検査(IgE抗体定量検査)
血液を採取し、血清に含まれる花粉に特異的なIgE抗体の量を測定して、何がアレルゲンであるかを推測します。1回の検査で何種類かの複数のアレルゲンについて一度に調べることができます。花粉症のアレルゲンについては、スギ、ヒノキ、カモガヤ、ブタクサなど、また、ハウスダストやカビ、ダニなどについても調べられます。

6.皮膚テスト(アレルゲン皮膚反応検査)
花粉エキスを腕に1滴たらし、針で軽い傷をつけ(または注射し)、皮膚の膨疹や発赤の有無をみます。反応したエキスがその人のアレルゲンです。

鼻アレルギー診療ガイドラインでは、
・特異的IgE抗体 5.、または皮膚テスト 6.
・鼻汁好酸球検査 3.
・鼻誘発テスト 4.
の3項目のうち、2項目以上陽性の場合にアレルギー性鼻炎と診断できると記載されています。典型的な鼻の症候があり、上記の検査を行うことによって確定診断する事ができます。

(10)花粉症の治療

花粉症の治療は大きく分けて3種類あります。
「予防療法」「対症療法」「根治療法」の3つです。

1.予防療法とは、症状が出る前から、なるべく症状がでないように治療するもの。
2.対症療法とは、すでに現れてしまった症状に対し、それを和らげるために行うもの。
3.根治療法は、アレルギー体質を改善し、治癒をめざそうというものです。


1.予防療法
花粉が飛び始める前に治療を始める方法です。花粉症をひどくしないためには、症状が出る前に手を打つ初期治療が大事です。
花粉症の場合、例えばスギ花粉が飛ぶ時期はだいたい予測できます。
本格的にスギ花粉が飛散する(スギ花粉飛散開始日)前から、薬を飲み始めることによって、発症時期を遅らせたり、症状を軽くしたりすることができます。近年は暖冬傾向で、12月にスギ花粉の飛散が初観測される年も少なくありません。鼻がムズムズする、鼻の穴がモワっとして熱いなどの異変は花粉症の予兆なので、鼻水が出るのを待たずに治療を開始しましょう。自覚症状がなくても、遅くても1月末から薬を服用するようにしましょう。予防療法としては抗アレルギー薬の内服による治療が主流ですが、その薬の効果が出るまで1〜2週間程度の時間がかかりますので、その時間差をうまく活用して、症状が出る前から薬を飲んでおくことは効果的といえます。

1.【予防療法のメリット】
・症状の発症時期を遅らせることができる
・飛散時期のピークに症状を軽く抑えられる
・症状が軽くて済むので、薬の利用や通院回数を減らすことができる
・花粉が飛散している時期の外出が楽になる

2.予防療法で用いられる主な薬剤と特徴
花粉症に対する予防療法は、少量の花粉抗原を繰り返し吸入することによって、鼻粘膜で徐々に進行するアレルギー性炎症、鼻粘膜過敏性亢進を抑制することを目的としています。花粉の連続飛散によってもたらされる、鼻粘膜の過敏性亢進の抑制によって症状発現時期を遅らせ反応性亢進の抑制によって症状を軽症化させる効果があると考えられます。
予防療法に用いられる抗アレルギー薬は、I型アレルギー反応に関係する化学伝達物質(ケミカルメディエーター)の遊離、ならびに作用を調節するすべての薬剤、およびTh2サイトカイン阻害薬の総称です。
鼻アレルギー診療ガイドラインでは初期療法として、(1)第2世代抗ヒスタミン薬、(2)ケミカルメディエーター遊離抑制薬、(3)Th2サイトカイン阻害薬、(4)抗ロイコトリエン薬、(5)抗プロスタグランディンD2・トロンボキサンA2薬のいずれかの投与が推奨されています。
症状別には、くしゃみ・鼻漏型ではケミカルメディエーター遊離抑制薬または第2世代抗ヒスタミン薬を、鼻閉型では抗ロイコトリエン薬を用います。花粉飛散量の増加とともに、症状が悪化したら早めに鼻噴霧用ステロイド薬を併用します。

1)第2世代抗ヒスタミン薬
ヒスタミンがH1受容体に結合して生理作用を発揮するのを、受容体レベルで阻止する薬物です。数日で効果が発現し、他の薬剤より即効的で持続性です。副作用として眠気が出ることがありますが、第2世代抗ヒスタミン薬は血液脳関門を通過しにくいため、第1世代に比べてはるかに中枢抑制作用による眠気が起こりにくい特徴があります。くしゃみ・鼻漏型で用いられます。
ゼスランアレグラアレジオンエバステルジルテックアレロッククラリチンザイザルなど)

2)ケミカルメディエーター遊離抑制薬
肥満細胞からの化学伝達物質(ケミカルメディエーター)の放出を抑制します。作用はmildで、効果発現に2週間程度を要します。副作用は少なく、くしゃみ・鼻漏型で用いられます。
インタールリザベンアレギサールぺミラストンなど)

3)Th2サイトカイン阻害薬
Tリンパ球におけるインターロイキン-4、インターロイキン-5などのTh2サイトカインの産生抑制を起こすことにより、IgE抗体産生および好酸球を減少させ、アレルギー性炎症を抑制するものと考えられています。
アイピーディーなど)

4)抗ロイコトリエン薬
肥満細胞などから分泌されるロイコトリエンは、気管支平滑筋収縮作用・気管支腺分泌促進作用・血管透過性亢進作用・気道炎症惹起作用を有しています。このロイコトリエンの作用を受容体レベルで阻止することにより、抗ロイコトリエン薬は気管支喘息に対して優れた予防効果を示します。また花粉症では、鼻粘膜の血流を改善する効果があり、鼻閉型によく使用されますが、鼻水・くしゃみの改善効果もあります。
オノンシングレアキプレスなど)

2.対症療法
すでに現れている症状に対して行われるのが対症療法です。症状を和らげたいからこそ受ける治療ですから、なるべく即効性のある薬剤を使用します。
対症療法として用いられる薬剤は、抗ヒスタミン薬ステロイド剤が中心で、どちらも即効性に優れたものです。
この他にも、血管収縮剤抗コリン剤も治療に使われています。それぞれ内服薬や点鼻薬、噴霧薬など、使われ方はさまざまです。
また、花粉症は重症度病型により治療法が選択されます。

1.軽症症例
例年、症状が軽い症例では第2世代抗ヒスタミン薬を用います。
花粉飛散量の増加とともに症状が悪化してきたら、鼻噴霧用ステロイド薬を用います。

2.中等症症例
くしゃみ・鼻漏型では第2世代抗ヒスタミン薬と鼻噴霧用ステロイド薬との併用で治療を開始します。鼻閉型ではロイコトリエン受容体拮抗薬に鼻噴霧用ステロイド薬を併用します。くしゃみ発作・鼻水・鼻づまりの症状がほぼ同じ程度に強い充全型では、第2世代抗ヒスタミン薬も随時追加し併用します。

3.重症・最重症症例
くしゃみ・鼻漏型では第2世代抗ヒスタミン薬と鼻噴霧用ステロイド薬との併用で治療を開始し、鼻閉型、充全型ではさらにロイコトリエン受容体拮抗薬を併用します。鼻閉が特に強いときは点鼻用血管収縮薬も同時に使用して治療を開始し、1週間前後で鼻閉が改善したら、まず点鼻用血管収縮薬を中止し、さらに症状が安定したら抗ヒスタミン薬を中止します。鼻粘膜腫脹が強く、点鼻用血管収縮薬の効果が少ない場合、または咽頭・喉頭症状が強いときには治療開始時に経口ステロイド薬を数日間に限って服用し、鼻噴霧用ステロイド薬・第2世代抗ヒスタミン薬・ロイコトリエン受容体拮抗薬との併用で治療を開始し、鼻閉が改善し次第、内服ステロイド薬は中止し、さらに症状の改善とともに治療内容をステップダウンしていきます。

拡大図はこちらをご覧ください。
表:重症度に応じた花粉症に対する治療法の選択

4.鼻噴霧用ステロイド薬
くしゃみ・鼻水・鼻づまりといった鼻の3大症状に対しては、鼻の中にシュッと吹き入れるステロイド局所剤が使用されています。
この薬は喘息の薬としてよく知られています。アレルギー反応を起こす肥満細胞が増えるのを抑制する働きがあるため、症状を和らげてくれます。
一般にステロイド剤には強い副作用がつきものというイメージがありますが、鼻の粘膜だけに吹き入れる噴霧タイプのものは、内服したり注射する場合に比べ、副作用の危険性は減ります。安全性と効果の面から、鼻噴霧用ステロイド薬は軽症の人からかなりひどい重症の人にまで使用されています。種類によって、1日4回というものもあれば、1日1〜2回というものもあります。
フルナーゼナゾネックスアラミストエリザスなど)

5.血管収縮性点鼻薬
この薬は、鼻づまりがひどく、夜も眠れないといった人に有効です。鼻づまりは粘膜の浮腫が原因で起こるため、血管を収縮させて、うっ血や充血を取り除く点鼻薬は、鼻の通りを良くしてくれます。
鼻に入れて数分ほどで症状が和らぎます。この薬の欠点は、頻繁に使っていると薬が効かなくなり、かえって腫れがひどくなってしまい、いわゆるリバウンド現象を起こすことです。
トークプリビナコールタイジンなど)

6.点眼薬
季節性アレルギー性結膜炎(花粉性結膜炎)の症状は、眼掻痒感・涙目・流涙・結膜充血などですが、これらの症状に対する治療は点眼液が主体です。
花粉症に対して使用される点眼液には、ケミカルメディエーター遊離抑制薬、抗ヒスタミン薬、ステロイド薬の種類があります。
ステロイド点眼薬は長期に及ぶと、角膜ヘルペス、角膜真菌症のほか眼圧上昇などの合併症を起こすので注意が必要です。

1)抗アレルギー薬
パタノ−ルインタールザジテンアレギサールぺミラストンリザベンリボスチンなど)

2)副腎皮質ステロイド
リンデロンフルメトロンなど)

7.漢方薬
さまざまなアレルギーに対して、漢方薬を試みる人は多いようですが、花粉症にも効果があります。風邪薬として知られる小青竜湯は、感冒における水様の痰・鼻水・鼻閉・くしゃみのほか、アレルギー性鼻炎・結膜炎にも適応があり、眠くなる副作用がないため好んで服用される方がおられます。花粉症の症状が出始めた頃、風邪なのか花粉症なのかよく分からないようなときにも便利です。

3.根治療法
根治療法は、アレルギー体質そのものを改善することで花粉症を治そうというものです。予防療法も対症療法も、そのシーズンの症状を抑えることが目的で、次のシーズンまでその治療効果が続くことは期待できません。毎年の花粉シーズンのたびに治療が必要であり、言うならば、「体をだましだまししながら、花粉症と付き合っていく」ということになります。
これに対し根治療法は、体の中の抗体を減らし、体の免疫状態を変えて、いつかは花粉症と決別できる体にしようというものです。
根治療法の代表的な方法に減感作療法があります

1.減感作療法
減感作療法は抗原特異的免疫療法とも呼ばれ、花粉の抽出液を、最初は低い濃度から注射などで投与し、その後少しづつ濃度を上げ、花粉抗原に対する免疫を獲得させる方法です(皮下免疫療法)。実際には花粉症の季節が始まる3カ月前以上から始め、2年間以上続けることが必要です。継続的に数年間持続して治療を受けなければならず、多忙な人にとってはなかなか難しい治療法でもあります。この治療によって鼻粘膜の肥満細胞数の減少が報告されており、その作用は投与した抗原がリンパ球を刺激するためと考えられています。

2.特殊治療
1)手術療法
鼻アレルギー診療ガイドラインによると、手術療法の位置づけは、重症および再重症の鼻閉型の症例で、鼻腔形態異常を伴うものとされています。簡単に言うと、薬の効果が十分でなく、もともと空気が通りにくい鼻の構造をしている人には、通り道を拡げる手術を選ぶ場合があるという事です。
鼻閉型の症例では鼻中隔彎曲症が問題になるケースが多く、それに対し鼻中隔矯正術が行われます。また、鼻の粘膜が厚くなっているタイプに行うのが、下鼻甲介切除術です。粘膜を切除する方法としては、電気凝固手術レーザー手術凍結手術など、いくつかの方法が行われています。

2)レーザー手術
レーザー手術は手術療法の一つですが、症状がかなりひどく、しかも、薬による治療ではいっこうに治らない人を対象に行われています。
くしゃみ・鼻水・鼻づまりといった鼻に現れる花粉症の症状は、鼻の中のヒダ部分、下鼻甲介部分が花粉に過敏に反応し、アレルギー反応によって炎症が起き、腫れあがることで起きる症状です。
レーザーによる治療は、この炎症の起こる部分に高出力のレーザーを照射し、粘膜の一部を焼き切ったり、あるいは炭化凝固させることで、症状が出るのを抑えようとするものです。

3)ボツリヌス薬
ボツリヌス薬は、女性の美容整形において、眉間・額・目じりのしわ伸ばしをする治療薬として使用されます。これはボツリヌスが多汗症の治療薬としてもともと使われていることを応用し、鼻粘膜にボツリヌス液を滴下するだけで、鼻水を出させる副交感神経に働きかけることで鼻汁の分泌を抑制するものです。

(11)花粉症の日常生活ポイント10

1.花粉飛散情報に気をつける
花粉が多く飛ぶのは
・晴れて気温が高い日
・湿度が低く乾燥している日
・風が強い日
・雨の翌日で晴れた日
毎日発表される花粉の飛散情報に注意して、たくさん飛ぶ日には完全防備して出かけるか、可能であれば外出を控えるようにしましょう。

2.メガネ・マスクでガードする
メガネ・マスクなどで花粉が眼や鼻へ侵入するのをガードしましょう。また帽子などで花粉が髪につくのを防ぎましょう。
メガネは普通のメガネでも効果はありますが、ゴーグル型が最も効果的です。
マスクは花粉症専用のものもありますが、普通のものでも内側にガーゼを厚めに入れるとか、中のガーゼを水で湿らせておけば、より効果的に花粉を防ぐことができます。

3.洗濯ものやふとんを外に干さない
洗濯ものやふとんを外に干すと花粉がついてしまいますので、なるべく乾燥機を使用したり、家の中に干すようにしましょう。
どうしても外に干すときには、比較的飛散量の多い昼過ぎや日没前後をさけて、取り込む時にはしっかり花粉を払い落しましょう。
ふとんに花粉がついたままにしておくと、就寝中にひどい症状に悩まされることになります。

4.花粉のつきやすい衣服(ウールなど)をさける
衣類は、花粉がつきやすいウールなどをさけて化繊や綿製品にしましょう。中に重ねて着るのは大丈夫です。

5.帰宅したら衣服をよくはたく
花粉をできるだけ室内に持ち込まないため、外出後には衣服や髪についた花粉をよく払い落して家の中に入ります。外出時に着用していたコートや帽子などは、部屋の奥まで持ち込まず、玄関にかけるところを用意して、そこに置くようにしましょう。

6.外出後にはうがいや洗顔・シャンプーをする
帰宅したらすぐにうがいをし、洗顔や入浴・シャンプーをして体や髪についた花粉を洗い落とすようにしましょう。
専用製品などを使用して目や鼻の洗浄をするのもよい方法です。

7.窓やドアは開けっぱなしにしない
ちょっとしたすき間からも花粉は入ってきますので、窓やドアの開け閉めは、花粉量の多い時間帯をさけ速やかに、回数もなるべく少なくしましょう。

8.こまめに掃除をする
毎日こまめに掃除機をかけ、室内の花粉を減らしましょう。
最近では花粉やダニの除去を考えた掃除機があります。これらは性能の良いフィルターを装備していて、花粉やダニを効率よく吸い取ります。

9.空気清浄機を使用してみる
掃除機だけでは取りにくい、室内に入りこみ浮遊している花粉を除去して、空気をきれいにする空気清浄機の使用も有効です。

10.お医者さんの指示を守り、適切な薬物治療を行う
早めの治療を心がけ、お医者さんから処方されたお薬を指示どおりに服用しましょう。回数や飲む量を多くしたり、症状がおさまったからといってやめてしまわないようにしましょう。


【参考資料】
[1]アレルギー疾患 診断・治療ガイドライン
[2]プライマリーケアのための花粉症診療
[3]花粉症の正しい知識と治療・セルフケア
[4]花粉症からの解放! 最新光治療
[5]今日の治療薬